求められる慢性疾患への適切な対応

慢性疾患に悩まされる患者は多くいます。症状の緩和や治療を目的として、病院やクリニックなどの医療機関に通う人も少なくありません。慢性疾患とは糖尿病や高血圧などに代表されるような病気であり、日本でも高齢者を中心に増加傾向にあります。

多くの国民にとって、慢性疾患はほど遠い病気ではなく身近な病気といえます。そのため、看護師は専門外であったとしても、慢性疾患に関する特徴などを把握しておく必要があるでしょう。慢性疾患は、完治が難しい病気といわれています。その理由は、発症時期が中年期以降であることが多いのに加えて、自覚症状が少ないことが挙げられます。

また、具体的な病名がはっきりするまでに、それ相応の時間が経過してしまうケースも多いです。風邪や腹痛、骨折などと違い、全快だということがわかりにくいこともあり、途中で治療をフェードアウトする患者も珍しくありません。慢性疾患の治療にあたっては息の長い治療や診察も必要なため、診療機関の連携や協力が不可欠です。患者の具体的な症状や病状はもとより、処方する医薬品の情報などについて、しっかりと共有しておくことが求められます。

以前のように、複数の診療機関で同様の検査などをすることになれば、無駄な医療費が嵩むことに加えて、患者の身体の負担は避けられません。しかし、2000年代に入り慢性疾患診療支援システムなどの構築が見られ、さまざまな医療機関で徐々に浸透してきています。そのため現在では、担当する医師や看護師は、蓄積された患者のデータなどを基に最適な治療に向けての方針や具体的な指針を立てることが可能になっています。